2023 年 79 巻 8 号 論文ID: 22-00209
長期気候緩和シナリオは大規模な温室効果ガス削減策の評価などで極めて重要な役割を果たしているが,その妥当性や実現可能性についてはこれまで評価されていない.本研究は,シナリオの各指標の変化率及び変化速度の分布に着目して,歴史的推移と対比させながら評価する手法を提示し,エネルギー強度,炭素強度,電化率の3指標について,同手法を適用した.エネルギー強度は過去の経験の範囲内であったが,電化率と炭素強度は気候制約の厳しい将来シナリオで過去の経験の範囲から外れる部分が4~5割あった.