2023 年 79 巻 8 号 論文ID: 23-00025
溶液型薬液を用いた改良土は,土質条件によって想定した強度が発現しない場合がある.そういった場合,配合再試験や工法自体の見直しといった時間的,経済的ロスが生じる.このような手戻りを防止するには,薬液改良土の強度発現メカニズムを正確に把握し,土質条件に応じた強度推定手法や不足強度を補う手法の開発が必要である.本研究では,これまでに実施した,供試体内に超小型間隙水圧計を埋め込んだ一軸圧縮試験の結果の取りまとめを行った.加えて,薬液改良土の圧裂引張り試験を実施し,薬液と土粒子の付着力に起因する強度が圧裂引張り強さから算定できることを確認した.また,把握した強度発現メカニズムをもとに,事前調査で取得できる土質パラメータを用いた簡易的な強度推定式を提案し,現地土の事例に適用して,その妥当性を確認した.