2024 年 80 巻 11 号 論文ID: 24-00014
宅地擁壁の中でも空石積擁壁の地震時被害が多く発生している.擁壁天端から下向きに補強材を打設する擁壁補強方法は,宅地擁壁への活用の機会が見込まれている.しかしこの補強は必要となる補強材本数が多く,施工費が高くなることから個人所有の宅地擁壁への適用に課題がある.そこで補強材に斜杭のみを用い,補強材頭部と最上段の擁壁ブロックを一体化させる擁壁補強方法を考えた.本研究ではその提案する補強方法に関して,補強材本数の違いによる補強効果の変化の確認に加えて,単杭と組杭の違いによる擁壁頭部との一体化における補強メカニズムの変化について,遠心模型実験装置を用いた背面地盤載荷実験を行い検討した.その結果,補強材本数の減少は補強材の曲げ変形を抑制し,補強材に大きな引張方向の軸力を加えることができることが示された.