2024 年 80 巻 15 号 論文ID: 23-15012
本研究では,車両の車体応答から軌道の動的変位を推定し浮きまくらぎを検出する手法を提案する.車体の上下動揺とピッチング回転を考慮するためハーフカーモデルを採用し,前後台車中心位置における軌道形状を状態量に含む拡張状態空間モデルを定義した.車体応答を観測量として状態推定を行うカルマンフィルタと RTS 平滑化に,状態量に関する制約条件を考慮してモデルパラメータを同定する遺伝的アルゴリズムを組み合わせた動的変位の推定手法を構築した.その上で,重量差のある車体応答から推定した動的変位の沈下量差に着目し,定量的に浮きまくらぎを検出するための統計的指標を提案した.提案手法はマルチボディ解析を用いて生成した車体応答を用いて検証され,その有効性が示された.