2024 年 80 巻 15 号 論文ID: 23-15020
非圧縮性流体解析では,離散化された圧力ポアソン方程式の求解が全体の計算時間の大部分を占め,3 次元領域や密度流では負荷が特に大きくなる.一方で,前処理の利用により連立一次方程式の計算時間を短縮することができる.本論文では,3 次元キャビティ流れおよびダムブレイク問題をコロケート格子を用いてスレッド並列計算する際,圧力ポアソン方程式を解く Bi-CGSTAB 法に Multigrid 法前処理を適用し,その効果について検討した.なお,運動方程式に現れる移流項の計算には,TVD スキームおよび,高精度だが計算時間を要する QSI スキームを適用した.その結果,Multigrid 法前処理を用いた場合,圧力計算時間が短縮されることが確認され,格子数 1283,16 スレッド並列時に,圧力計算が最大で 15 倍高速化された.