2024 年 80 巻 15 号 論文ID: 23-15049
農業用鋼矢板護岸では,腐食による板厚の減少が顕在化している.これに伴い,鋼矢板護岸での孔食や座屈が散見される.本研究では,板厚に応じた鋼矢板の温度変動から,赤外線計測による板厚の非接触評価を試みる.解析的検討では,地表面の熱収支に関する理論を応用し,熱収支解析により鋼矢板の温度を気象データに基づいて計算し,表面温度を推定する.実験的検討では,鋼矢板供試体を気象条件下に設置し,熱収支解析による鋼矢板の温度変動と赤外線計測を組み合わせることで,板厚の非接触評価を行った.検討の結果,板厚に応じた温度の相違が顕著となる時間帯を対象に,標準化した温度と板厚の関係において,温度上昇過程では負の相関,温度低下過程では正の相関となることが検出された.