2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16009
本研究では,破堤幅が時間と共に広がったH27年関東・東北豪雨時の鬼怒川氾濫を対象として,破堤幅の時間変化と家屋被害状況との関係性を明らかにすることを目的とする.そのため,破堤幅が時間的に変化する堤防決壊を伴う鬼怒川を対象に,河川流・氾濫流一体解析を実施した.その結果,堤防決壊地点周辺の流速と浸水深は,破堤幅により大きく変化し,破堤幅変化に合わせて,被災家屋における流体力のピーク出現時刻が大きく異なっていた.多くの流失家屋周辺では流速と水深が2.0m/s,2.0mを超え,倒壊限界(木造家屋,旧耐震基準)を上回った.一方,倒壊限界を下回り,小さな浸水深となった流失家屋が存在しており,これらの場所では,地盤侵食が進行し,基礎ごと流失した可能性が高いことが示唆された.