2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16010
近年の豪雨に伴う洪水氾濫では多くの家屋被害が見られるが,洪水氾濫流の水理特性と家屋被害との関連性には不明な点が多い.本研究では,令和元年東日本台風・千曲川破堤氾濫において,家屋流失被害の空間分布特性を解明することを目的とする.そのため,決壊地点の流況を精度良く再現するべく,千曲川とその周辺における河川流・氾濫流一体解析を行った.その結果,決壊箇所からの氾濫流は三方向に分離し,流失家屋が帯状に分布する所では大きな流体力の範囲が広がることが確認された.また,決壊地点から離れた家屋では,氾濫流速や流体力が小さく旧耐震基準の倒壊限界を下回った.そのため,より高解像度の氾濫解析の必要性が示唆された.