2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16013
都市域で洪水氾濫が発生した場合,氾濫流による浸水被害に加えて,自動車等の漂流物が建物への衝突被害を生じさせると共に,流水の堰上げによって浸水域を変化させる恐れがある.本研究では,洪水氾濫時の浸水域の分布予測に自動車が及ぼす影響を考慮した手法を構築することを目的として,自動車の存在を考慮した氾濫流の数値モデルと,自動車を単一の矩形の浮体要素とみなした数値モデルを作成した.このモデルを直線水路と市街地を模した平面領域における浮体の流送と浸水域の予測に適用した結果から,文献で報告されている流送限界条件を計算できること,流水区間のうち浮体の上流側の水深が増加することが示された.また,平面領域での氾濫流の拡がりに対して浮体が水の流下を阻害することで,浸水域の範囲と水深に変化を及ぼすことが示された.