2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16015
豊平川花魁淵では,砂礫消失後に岩盤が露出・侵食したことによりニックポイントと呼ばれる小滝が形成され,ニックポイントの後退(上流移動)が確認されている.本研究では,岩盤侵食を考慮した数値計算モデルを用い花魁淵でみられた川幅と勾配に変化がある岩盤河川の侵食過程について解明を試みた.数値実験では川幅と流量に変化を与え計算を行った.数値実験の結果,ニックポイント周辺の川幅が変化することにより流砂量が増加し岩盤侵食量が増加することで,ニックポイントの維持と後退を促進することが示唆された.また,乾湿風化は,上流側の岩盤床を平坦化し急勾配部を全体的に低下させるため,川幅変化によるニックポイント後退への影響を維持する効果があることが示唆された.