2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16033
外来沈水植物オオカナダモの異常繁茂による水域生態系への影響が懸念されている.今後,オオカナダモのさらなる影響を抑えるために,流域全域におけるオオカナダモが異常繁茂し得る河川区間を効率的に把握し駆除する必要がある.本研究では,江の川水系を対象に環境DNA分析を用いてオオカナダモの繁茂状況の把握を行った.続いて,オオカナダモ繁茂と環境要因との関係について解析し,オオカナダモ繁茂のポテンシャルマップを作成した.結果として,オオカナダモは河床勾配の緩やかで土砂堆積の起こりやすい地形に定着しやすいことやオオカナダモが休眠状態になり得る水温の時間数が多いほど定着しにくいことが推察された.また,環境DNA分析を用いることで水系内のオオカナダモの繁茂ポテンシャルを推定可能であることが明らかとなった.