2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16039
日本には急峻な地形が多く存在し, 山岳の影響により降雨が強化され, 多量の雨をもたらす地形性降雨という現象が発生する. 地形性降雨によって, レーダー観測雨量と地上観測雨量にずれが発生することがある. 地上雨量を正確に推定することは, 防災上の観点から非常に重要である. 本研究では, 地上雨量推定の精度を向上させることを目的として, レーダー情報から捕捉率を推定する手法を開発し, その捕捉率を用いて地上雨量推定を行った. その結果, 捕捉率は信頼性のある値で算定でき, レーダー情報から得られた捕捉率を用いた場合でもXバンド偏波ドップラー情報とCバンド偏波ドップラー情報を合成して得られた雨量情報(以下CX合成雨量と呼ぶ)と比較して従来の推定手法と同じかそれ以上の高い精度で地上雨量を推定することが可能であることが示された.