2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16040
雨量計観測から降水強度を算出する場合,一般には,観測した降水量を対象時間で割る手法(単純法)が用いられる.転倒ます型雨量計において,単純法は対象時間が短いほど精度が悪い.著者らは,転倒時刻を統計的に推定し,累積降水量の内挿により降水強度を算出する手法(内挿法)を開発した.本研究では,ディスドロメータの観測から雨量計の模擬観測データを作成し,単純法と内挿法の精度を検証した.内挿法は単純法より優れており,特に降水強度算出対象時間が短い場合に精度の差が大きいことが分かった.また,内挿法では,雨量計記録時間分解能が短いほど精度が向上することが示された.1時間分解能の記録しかない場合において,転倒発生時刻の推定を改良することで,内挿法における1時間降水強度の算出精度をさらに改善することに成功した.