2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16050
岩盤上に形成されたニックポイントの上流進行プロセスに及ぼす土砂供給量の影響を調べるため,水路実験を行った.水路内に初期落差のある岩盤を模擬したモルタル床を打設し,そこに上流側から土砂を供給し,侵食過程を観察した.その結果,以下のことがわかった.水路内において,初期段差の上下流の一様勾配区間で侵食が発生せず,初期段差上の急勾配区間でのみ侵食が生じる場合,滝の上流進行プロセスはオーバーハング型をとる.初期段差の上下流の一様勾配区間と初期段差上の急勾配区間の両方で侵食が発生するとサイクリックステップ型の上流進行プロセスとなる.本研究の実験条件では,土砂供給量が25g/minと35g/minの間に,この2つの上流進行プロセスを分ける閾値が存在する.