2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16051
土石流による渓床・渓岸侵食を瞬間的,局所的な変化過程として捉えるだけではなく,時空間的な広がりを持つ現象として捉えることが重要である.土石流の侵食をエネルギー的に捉えることにより,時空間的に広がりを持ったスケールで侵食メカニズムを考えることができる.本研究では,石礫流を対象とし,まず初めに三次元運動方程式に基づいた観点から,詳細な三次元数値実験より,渓床・渓岸侵食機構を検討する.次に,三次元運動方程式から得た水理量を用い,エネルギー輸送の観点から渓床・渓岸侵食機構を大きなスケールで検討する.検討結果より,縦横断的に大きなエネルギー勾配を有する石礫流が渓岸にぶつかることで侵食が起こっていることを明らかにしている.