土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(水工学)論文
礫河原再生に向けたダム洪水調節方法変更の可能性~和賀川上流の湯田ダムを例として~
石川 忠晴河内 敦
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2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16060

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抄録

 ダムによる洪水調節は河道の掃流力を減少させる.そのため下流河道において砂州の固定化と樹林の繁茂により礫河原が消失しつつある.本研究では,礫河原の樹林化が著しい北上川右支川の和賀川について,上流の湯田ダムの洪水調節方法を変更することによる河床礫移動の促進可能性を検討した.まず出水時の湯田ダム流入量と和賀川流量の統計解析からダム調節容量に十分な余裕のあることを確認し,和賀川河道の洪水流下能力の範囲内での洪水時ダム放流量の増加可能量を検討した.その結果,生起確率1/5の河道流量を約1100m3/sから1800m3/sに増加できることがわかった.続いて浅水流モデルを用いて流量増に伴う掃流力の変化を計算し,和賀川河道で支配的な10cm径の礫の移動性を改善できることを示した.

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