2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16061
本研究は,都市域における内水氾濫による被害軽減のための内水氾濫危険情報の発令を効果的に運用することで早期避難実現を目指すべく,下水道水位の流出特性とその予測可能性について検証した.その結果,降雨強度と下水道水位のピーク時間の差は僅か5-10分程度しかないことがわかった.そして,下水道内水位は満管状態になると水位は急激に上昇し溢水に至る可能性があり,各下水道の満管時間を予測することが重要であることを示した.このように都市域で小さな集水域では避難時間が非常に短いことから,予測降雨を用いることでこの避難時間を確保することを検討し,10分先予測迄の予測降雨は活用できることを示した.これらの結果より,上述の時間と組み合わせれば約20分程度の避難時間を確保でき,下水道水位の観測が早期避難に有用であることを結論付けた.