2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16074
内水氾濫と外水氾濫(溢水氾濫)が同時に発生する重畳氾濫を考慮した複合水害を対象として,複合水害解析モデルを用いて浸水シミュレーションを実施し,単位幅比力Mを指標として,重畳氾濫が避難に与える影響を調べた.その結果,重畳氾濫時に,1) 高齢者女性,成人女性・高齢者男性,成人男性の安全避難の判断基準となる限界値を超える範囲が広がる,2) 避難できなくなる避難所が生じうる,3)より早く避難を開始する必要性がある,4) 避難所での避難継続時間が長くなる,ことが分かった.以上より,重畳氾濫は避難のリスクを高めることから,豪雨時の避難をより安全に行うためには,重畳氾濫(複合水害)を考慮することの重要性が示唆された.