2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16079
Maxey–Riley方程式中の履歴力の表現が等方乱流中の粒子挙動に与える影響を,粒子比重を[0, 10000]間で変化させて調べた.履歴力カーネルとして,古典的Bassetカーネルと,有限Re数と長時間遅れの効果を反映したMei–Adrianカーネルを比較した.Bassetカーネルは履歴力の影響を過大評価するものの,本研究条件下ではその程度は小さい.履歴力は非常に重い粒子では無視できる反面,やや重い粒子や軽い粒子では一般に無視できず,軽い粒子には影響がより強く表れる.軽い粒子では圧力勾配が,重い粒子ではストークス抗力がクラスタを形成するのに対し,履歴力を考慮することで,軽い粒子では圧力勾配の寄与の一部が打ち消され,やや重い粒子ではストークス抗力が弱められ,偏分布が緩和されることが示された.