2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16081
透過性抵抗体によって発生する流体力の適切な評価は,Froude数(Fr)の異なる段波の抵抗と減衰に大きく影響するため,河川遡上津波の適切な予測計算にとって重要である.本研究では,円柱群を通過するFrの異なる砕波段波の波高を測定する基礎実験を行い,開水路非平衡流中の流体力評価法に基づく 1次元計算結果と比較することで,Frによる段波の減衰・反射特性とその再現性を検討した.Frが大きいほど,透過性抵抗体による砕波段波の波高・波速の減衰率は大きい結果となった.これは,抵抗体の存在による反射率の違いによると考えられる.本研究で用いた流体力評価手法によって,Frの違いによらずに減衰波高の縦断分布は概ね再現される.一方,従来の抗力係数を一様に分布させる評価手法では,Frによらず波高・波速の減衰率を評価できないことを示した.