2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16117
河川の計画規模を定める際,長期間の観測データを基に水文量の年超過確率を定めることが重要だが,世界には観測データが乏しい流域も数多く存在する.そのような流域では,観測値として再解析データが利用されるものの,観測値との間にバイアスが存在する.そこで本研究では,河川計画での利用に向けた長期間の疑似観測データの作成を行い,データの作成に適した確率分布,較正期間に関する検討を行った.その結果,3段タンクモデルの適用により算出した疑似観測データに基づく流量は,観測値の流量を高精度に再現可能であり,指数分布型手法は日単位の流量,ガンマ分布型手法は大規模出水の再現精度が高いことが示された.また,15年以上の較正期間を設定した場合,極端な降水現象が大きな影響を与える確率流量を良好に再現出来ることが示唆された.