2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16148
ダムの事前放流を行うことで,洪水の被害を抑えることができる.しかしタイ国では雨季と乾季がはっきりと分かれているため,ダムは乾季に備え十分な水を蓄えておく必要があり,事前放流のリスクは高い.そのためダムの事前放流の判断材料として,ダムの月流入量を精度よく予測することが重要となる.本研究では機械学習の中でも注目を集めている,Transformerモデルを用いた.機械学習の精度を上げるためには大量のデータが必要となるが,月流入量データには限りがある.シリキットダムにおけるデータを用いて事前学習を行い,3つの手法を用いてプミポン,スリナカリンダムの月流入量予測を行った.トレーニング期間が29年の場合では改善が見られなかったが,5年とデータ数が少ない場合において,ナッシュ係数を0.17から0.75まで改善させることに成功した.