2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16160
一宮川流域では他の二級水系に先駆けて流域治水プロジェクトが実施されているが,水位や流量などの観測データが不足しており,水文・水理特性は不明である.本研究では,一宮川流域において多地点水位連続観測を実施し,水文・水理特性を把握すると共に,ピーク水位と雨量の相関関係に基づいて,HWL・河道満杯雨量の空間分布を把握することを目的とする.その結果,支川を含む早野~旭橋区間では相対的に流下能力が低くなっている一方,調節池付近ではHWL雨量が高く調整池の治水対策効果が寄与していることが示された.今後,流域治水対策を流域全体で評価・把握することが求められており,本研究で提示した水位データ活用法はその一助になることが期待される.