2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16169
実河川は川幅が変化しながら洪水流下しているにも関わらず,凹部等川幅変化部における水理特性の研究は局所的な検討が多く縦断方向に与える影響はあまり着目されてこなかった.そこで,本研究では川幅が変化する場を対象に定常および非定常で流量を供給する実験を行い,水面形の変化,流れの特性等を検討した.その結果,一定流量通水時の拡幅域特有の流れ,土砂堆積傾向,あわせて非定常流量通水時における洪水伝播特性を示すことができた.特に,拡幅域の川幅が広くなると,急縮部の水位上昇の影響が広く上流へ伝播し,洪水波の増水時間が短いと拡幅域内での水位上昇が遅れる一方で十分上昇する前に下流へ洪水波が伝播するとともに下流のピーク水位を低減させることなどを示すことができた.