2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17018
吸い上げと吹き寄せにより高潮の潮位偏差が増大し,傾度風の風速は気圧降下量に依存する.また,高波の有義波高は,ある条件の下で風速に依存し,気圧,風速,潮位偏差,波高の4変量の極値は,相互に従属することは海岸工学の古典的な知見である.ペアワイズの2変量とは異なり,4変量に条件独立を適用すれば,短絡により冗長さを排し,従属構造のスパース化が可能となる.例えば,本来,風速に依存する高波が,潮位偏差を中継することで直接的には,風速に依存せず,潮位偏差との依存のみで表現可能となり,このことによって,全体の従属性の強さの推定精度向上に寄与する可能性や,そのような短絡を含む従属構造が,その地点での地域性の特徴となる.本研究は,これらの4変量の極値の従属構造が,4変量の偏相関係数と3変量の偏相関係数の関係から分類できることを示すものである.