2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17056
海底地すべりによる津波の解析においては,初期水位の簡易推定式が広く用いられる.しかし,この式は限られた条件下の数値解析に基づいており,条件を外れると非現実的な解を与える場合がある.本研究では,より広い条件下で合理的な解を得る方法を提案した.数値解析との対比等により,地すべりの没水深や移動距離に応じ式に与えるべき制限及び初期加速度に着目した適用式の選択方法を示した.また,適切な係数選択を行えば,二重ガウス分布で水理実験の空間波形を良く再現できることを確認した.さらに,水位に影響を与える地すべり速度について,抗力係数等のパラメータを適切に設定することで水理実験を再現できることを示した.この点は,併せて実施した2018年スラウェシ津波の再現解析でも認められた.