2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17060
2023年10月08日(UTC)に鳥島近海で発生した地震は,マグニチュードが不明なまま津波をもたらす特異な事象であった.著者らは南海トラフの地震活動を監視するために,紀伊水道沖の海底に長さ200mの光ファイバを展張し,光干渉(位相差)を計測する仕組みで微小のひずみ変化をリアルタイム観測している.地震時に,光ファイバひずみ計は14パケットの水中音波とそれにつづく分散性の津波を観測した.ひずみの振幅は,それぞれ0.07∼0.2µεと0.003µεであった.約3km離れたDONETの水圧計でも,1∼5hPaの水中音波ならびに1.4hPaの津波を観測し,光ファイバひずみ計の卓越周波数と一致した.光ファイバひずみ計による津波観測は,津波観測点が少ない沖合において,非地震性津波の早期検知に寄与することを示唆する.