2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17061
本研究では,ヘドロなどを巻き込んだ黒い津波を対象として,粒径が数μmの底質を含む濁水の津波を防潮堤に衝突させる固定床実験を実施し,濁水密度の違いによる波形や波力の変化特性を確認した.護岸前面での濁水密度は1.00, 1.05, 1.10g/cm3の3種類とし,沖側での入射波は淡水の津波を共通して造波させた.津波の入射波形を3種類,海底地形を2種類,堤体位置を3種類に変化させ,それらによる影響を検討した.その結果,海底地形や堤体位置によらず,濁水密度が大きくなるほど波形は前傾化するが,津波高が低下するため波力は概ね小さくなる傾向が確認された.ただし,濁水密度により護岸前面における砕波位置が変化するため,入射津波や地形条件によっては波力が大きくなる可能性があることも示された.