2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17072
気候変動を踏まえた設計外力の検討が全国的に進められており,津波水位に与える影響の把握も重要である.本研究は北海道沿岸を対象に海面上昇に伴う津波高の変化を分析した.初期水位を変更した津波シミュレーションの比較より,初期水位が高いほど,特に湾状地形で津波高の増大傾向が見られた.津波高の経時変化より,第1波の津波高は変わらないものの.反射による湾振動の影響が現れる第2波以降で初期水位による違いが顕著になった.また,津波水位スペクトルの比較より,スペクトルの概形は変わらないものの,初期水位が高いほどピーク周期が短周期側にシフトし,そのピークは増大した.第1波と第2波以降で海面上昇が津波高に与える影響が異なるため,気候変動に伴う設計津波水位の見直しに際し留意が必要である.