2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17070
石油貯蔵タンクの被災推定モデルを組み込んだ,新たな津波による石油拡散シミュレーション法を構築した.津波流速と浸水深から貯蔵タンクに作用する流体力の時間変化を推定し,貯蔵タンクの重量から決まる抵抗力以上の流体力が作用する場合に石油拡散が生じるとして計算した.石油の拡散挙動はラグランジュ的手法を用いて計算し,石油粒子には流出元の貯蔵タンクに基づくラベリングが可能である.これにより,拡散された石油がどこから流出したのかを特定でき,効果的な対策が可能となる.また,最大石油濃度から,津波火災のリスクが高いエリアを特定できる.
開発された津波石油拡散シミュレーションを用いて,大阪港地区を対象にケーススタディを実施し,特に堤防が倒壊するか否かにより石油の拡散挙動は大きく変化することを明らかにした.