2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17101
2022年1月15日に南太平洋のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山が噴火した.噴火に伴い,日本国内で潮位変化が起こり,気象庁が16日未明に太平洋沿岸に突如,津波警報や津波注意報を発表して啓発する異例の対応を行った.地震の揺れなどの直接の現象がない中で潮位変化が起こり,深夜に津波情報が発表されるといった異例の事象における住民の避難行動などの実態を明らかにするため,沿岸地域で津波警報や津波注意報が発表された自治体の住民に質問紙調査を行った.調査の結果,周囲他者による声かけが,深夜に就寝状態の住民に情報を伝えることや避難を促すことにおいて,一定の役割を果たしたことが分かった.さらに,地震などによる揺れがない中で深夜の避難を迫られた住民は,公的な情報を基に避難判断をしていたことが明らかになった.