土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(海岸工学)論文
領域海洋モデル全域から放流した粒子追跡実験を用いた東日本南岸海域の物質輸送過程の評価
佐近 淳平増永 英治内山 雄介
著者情報
ジャーナル 認証あり

2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17110

詳細
抄録

 本研究は,領域海洋モデルROMSで再現された東日本南岸海域の全域から放流したラグランジュ粒子を追跡し黒潮や沿岸地形が影響する物質輸送過程の評価を行った.本手法は一般的な特定の領域から放流した粒子追跡手法とは異なり,領域全域に粒子を初期配置することで再現海域全体の物質輸送過程が評価可能となる.放流した粒子は,黒潮や渦のフロントを境界に強く引き伸ばされるように拡散し,強い方向依存性を伴った拡散過程を示した.この方向依存性は沿岸域から黒潮流軸までの海域で見られ,東西方向の水平拡散係数は南北方向に比べ5~10倍程度大きい値を示した.一方黒潮流軸以南の海域では,等方的な拡散が発生しており季節的な依存性が強く,冬季の水平拡散係数は夏季に比べ1オーダー倍程度強いことがわかった.

著者関連情報
© 2024 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top