2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17139
気候変動が海浜変形へ及ぼす影響を明らかにするため,高知海岸と鳥取砂丘海岸のエネルギー平均来襲波の特性を分析した.d4PDFを活用し台風時の波浪解析を行い,志村・森(2019)の波浪予測データとともに来襲エネルギー量と平均波向を評価することで,海浜変形への気候変動の影響を,台風期と非台風期に分けて分析する手法を提案した.高知は非台風期よりも台風の影響が支配的で昇温時には更に増大すること,鳥取は現在気候では非台風期の影響が大きいが昇温時には台風の影響が非台風期と同程度まで増大することがわかった.沿岸漂砂量の将来変化は,来襲エネルギー量に応じて増減する一方,漂砂の移動方向や割合が変化するため,波向の影響をより強く受けることを明らかにし,台風が海浜変形に及ぼす影響度を確率的に評価する手法を提案した.