2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17146
海底インフラに被害をもたらす乱泥流において,含まれる土粒子の種類が流動に与える影響について十分に検討されていない.本研究では,工学的分類が異なるシリカ,カオリン,東京湾浚渫粘性土の体積濃度C=0.5~11%の懸濁液を水槽に一定流量で流下させ,乱泥流の先端の進行速度uの平均値uavを比較した.併せて,粘度計を用いて懸濁液の粘性特性を計測した.その結果,粘土鉱物を含まないシリカの乱泥流のuavはCの増加に対し非線形に単調増加した.一方,粘土鉱物を含むカオリンや東京湾浚渫粘性土の乱泥流のuav–C関係は上に凸の傾向を示し,液性限界の10倍程度の水分量の配合に相当するCでuavが最大値となった.その配合を境に粘土懸濁液の塑性粘度や降伏値が顕著に変化しており,層流と乱流の遷移域のレイノルズ数に対応していることが示唆された.