2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17147
鳥取県中部に位置する北条川放水路の河口では,砂州形成による河口閉塞が頻繁に生じている.本研究は,河口から2.2km上流の北条川との分流地点にある分水堰(空気式ゴム引布製起伏堰)を倒伏して放水路内へ放流し,砂州をフラッシュさせる方法について現地実証実験を行った.実験条件について,井堰や樋門の開閉を含む上流の水位・流量,倒伏前の放水路内の水位および河口砂州天端高に着目し,数値モデルを用いて砂州フラッシュが生じる条件を事前検討した.初期の河口水位と砂州天端の比高と,分水堰倒伏後の河口水位の上昇量が砂州フラッシュの可否に深く関わると想定されたため,実験の初期条件の設定に反映させた.実験では水位変化や砂州フラッシュ過程の動画撮影,前後の地形測量等を実施し,本対策手法の実現可能性および有用性を確認した.