2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17155
清水海岸では,離岸堤やヘッドランドなどが設置されているため,北東向きの沿岸漂砂が確実に北端部まで到達可能かどうか十分明らかにされていない.そこで2022年1月,安倍川の河道掘削土砂(d50=2cm)2.75万m3を4, 5号ヘッドランド(HL)間に投入し,4回のNMB測量とUAV測量によりその移動状況を調べた.これによれば,養浜により2022年5月までに-4m以浅で集中的な堆積が起きたが,その堆積域が波の作用で同年9月までには北東側へと200 m移動した.4, 5号HL間での2022年5月までの総堆砂量は3.8万m3であったが,総量のうち養浜砂は74%を占めた.また,養浜砂の沖への流出量はわずかで,漂砂の移動高8mを保ちつつ沿岸方向に運ばれたこと,またHLがあると沿岸漂砂は一時的に阻止されるが,最終的には北東向きに運ばれることが分かった.