2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17154
本研究は,波浪(非越波)-地下水相互作用により護岸擁壁背後法面で発生する陥没型被災に関して,対策工断面の有用性を明らかとするため移動床水理模型実験を実施した. 対策工(透水層)の実験は擁壁背後底部において,幅の異なる4ケースで実施し,砂層内の地下水位(マノメータ)及び間隙水圧の計測結果より,砂層内への浸透・滲出流成分を算出し砂層内流動特性を検討した. また,マノメータによる計測から得られる地下水位勾配から,ダルシー則に基づき砂層内の浸透流速を推定した. さらに,解析された浸透流速は既往の浸透流速逆推定手法を用いて,その妥当性を確認した. 以上より,最適な透水層幅の断面では,地下水排水が透水層への砂流入に有効的に働くことで,波の遡上・引き波による砂層内への浸透・滲出流を抑制させていることが示唆された.