2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17175
消波工のうちあげ高低減効果については,定量的な知見が乏しく,護岸等の設計においては,越波流量の低減効果(所要天端高の低減率)を準用していることが多い.本研究では,消波工を設置した護岸を対象とした松下らの水理模型実験(海底勾配1/30)で得られた不規則波のうちあげ高の代表値を整理し,各種実験データで再現性が確認されている間瀬らの打上げ・越波統合算定モデルで求まるうちあげ高の代表値と比較することで,うちあげ高の低減効果を評価した.その結果,消波工によりうちあげ高が4~8割程度になること,波形勾配が大きくなるほどうちあげ高低減効果が大きくなること,波形勾配が0.02以下かつ法先水深波高比が1以上となる条件では,合田らの所要天端高の低減率を用いるとうちあげ高を過小評価する可能性があることが分かった.