2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17185
高潮・高波の同時生起時には越波から越流に遷移する過程が生じる.この遷移過程は越波対策において重要である.著者らは,直立護岸で高潮・高波同時生起実験を行い,越波量に及ぼす潮位変動の影響について明らかにし,実験値と既存の越波・越流遷移モデルとの比較を行った.既存の越波・越流遷移モデルの精度評価では,直立護岸以外の実験データは限られており,護岸勾配に対しての推定精度が不明である.本研究では,1割・2割勾配護岸を対象に越波・越流遷移実験を行い,越波流量算定に用いる係数の護岸勾配に応じた算定式を提案した.さらに,高潮・波浪・浸水結合モデルによる同時生起実験の再現計算を行い,モデルの妥当性を評価した.その結果,高潮・波浪・浸水結合モデルは,越波から越流への遷移時系列を非常によく再現できることがわかった.