2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17202
護岸・岸壁背後の地盤の吸い出し抑止策として,裏込石と裏埋砂の間に,裏込石に対して安定性を保つ比較的大きい粒度の下層フィルターと裏埋砂の吸い出しを抑止する上層フィルターの二層フィルターを設ける手法を構築し実用化している.本研究は,吸い出しによる空洞陥没復旧への応用として,吸い出し口が低潮時地下水位より深い場合は,適切な層厚の上層フィルターが下層フィルターを覆う形で二層フィルターを陥没孔に投入する方法を,吸い出し口が浅く低潮時にその近傍の地盤が不飽和地盤となる場合は,その時間帯に陥没孔下側を掘削し,吸い出し口を塞ぐ形で二層フィルターを敷設する方法を考案した.一連の大型吸い出し可視化試験の実施を通じて,双方の手法とも適切な粒度の二層フィルターは強い水理外力下で吸い出しの再発を抑止することを示した.