2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17232
瀬戸内海では陸域から流入するCODを削減してきたにも拘らず,環境基準達成率が低いことが問題視されている.瀬戸内海のCODの起源としては,陸域以外に内部生産と外洋が考えられるが,起源別の分布と内訳は明らかになっていない.しかしながら,海域CODの制御限界を知るためには,その内訳を定量的に示す必要がある.本研究では,有機物を陸域・内部生産・外洋起源に区分した三次元流動水質モデルを構築し,各湾灘における起源別のCODの分布と内訳を解析した.その結果,陸域起源CODは主に河口域にのみ分布することが明らかになった.また,内部生産起源CODは移流・拡散によって広域に輸送され,全CODに占める割合は,少なくとも3割以上であった.外洋起源CODは瀬戸内海内にほぼ一様に分布しており,3割以上を占めていた.