2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17236
本研究では,広島湾内の2箇所の海草藻場において底質中の有機炭素量について長期間な把握を行い,有機炭素量の変動とその原因を明らかにすることを目的とした.地御前では海草の分布範囲に変動があり,競合海藻が確認されたが,神代では海草の分布範囲に変動はほとんどなかった.底質中の全有機炭素含有量は,海草が分布している地点において高く,競合海藻の分布も影響を与えていることが示唆された.地御前では難分解性有機炭素量の季節変動は小さかったが,神代では海草の繁茂期となる2021年5月から8月に増加した.広島湾内の海草藻場の底質中の有機炭素量は,Zostera marinaなどの海草とUlva spp.などの海藻の分布の影響を受けていることが示唆された.