2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17240
沿岸域では植物や底生動物等の活動(生体活動)によって生産,分解された有機物(生体関係有機物)が底泥として堆積している.底泥内の有機物の元素組成は生体活動によって複雑に変動しており,この変動を把握することによって生物生息環境の推定につながる可能性がある。本論文では,レッドフィールド比に基づいて,生体活動による炭素,窒素の組成変化(C/N比変化)を検討した.生物活性場(生物による栄養の摂取が卓越する場)ではC/N>12,未分解堆積物(死亡,排泄等により無生物化した直後の有機物)の集積場ではC/N<8として,ベイズ推論による機械学習を実施した.本研究結果として沿岸域底泥のC/N比分布から流れ場の異なる沿岸域小エリアでの生態系が評価され,未分解堆積物の集積エリアと生物活性の高いエリアが特定された.