2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17242
本研究は,都市沿岸域に造成された人工塩性湿地(大阪南港野鳥園)に分布するヨシ群落における炭素固定量と貯留量を評価することを目的として,2023年6月から2024年1月にヨシのサンプル調査を毎月実施した.地上部(穂・葉・茎)と枯死体,地下茎の現存量と炭素含有率を調べた結果,ヨシ地上部の乾燥重量は,稈高と末端茎径の積に高い相関があること,また,燃焼分析による炭素含有率は地上部で42%,枯死体で40%,地下茎で38%,そのうち難分解成分が地上部で39%,枯死体で60%,地下茎で45%であった.本調査結果に依ると野鳥園のヨシ群落の年間成長量は1,638.4dry-g/m2/yrで,炭素固定量は691.4g-C/m2/yr,炭素貯留量は272.0g-C/m2/yrと推定された.