2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17264
日本沿岸における長期間の波浪特性の変化に関する既往研究の多くがNOWPHASのデータを用いたもので,変化の要因を詳細に追求している例は少なく,一貫した結論に達したとも断言できない状況にある.本研究では,国土交通省 水管理・国土保全局により収集された42年間の波高データと気象庁Best Track Dataを用い,平均・最大有義波高の変化を年別,季節別に調査し,その変化と台風との関係を分析した.その結果,有義波高の全国的な増加・減少傾向は確認されなかったものの,特に東海地方での秋における増加傾向が明らかとなった.また,一部の観測所で台風の季節と年の最大有義波高の変化が類似していることや本州南岸を通過する台風が増加していることが確認され,台風の経路変化と最大有義波高の経年変化の関連が推察される.