日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
総説
消化器外科手術における合成抗菌吸収縫合糸の効果
内野 基池内 浩基
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2022 年 18 巻 5-6 号 p. 402-407

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抄録

【はじめに】抗菌合成吸収糸は手術部位感染(SSI)予防に有用であることが報告されているが,さまざまなガイドラインでの推奨は若干異なっている。日本外科感染症学会のSSI予防に関するガイドライン作成にあたりシステマティックレビュー,メタ解析を行ったので報告する。【方法】【結果】10介入試験5観察研究でメタ解析を行った。介入試験では,リスク比0.68,95%信頼区間0.48-0.95と抗菌縫合糸による皮切部SSI予防効果を認めた。観察研究ではオッズ比0.4,95%信頼区間0.3-0.54と抗菌縫合糸による皮切部SSI予防効果が認められた。縫合糸の種類別解析では,Poly-filament縫合糸の場合,リスク比0.45,95%信頼区間0.26-0.77と予防効果を認めたが,Mono-filament縫合糸の場合ではリスク比0.82,95%信頼区間:0.57-1.18,P=0.28と抗菌縫合糸による有用性は認めなかった。入院期間の比較で有意差がなかった。【考察】消化器外科手術での抗菌合成吸収糸による皮切部SSI予防の効果が示された。しかし縫合糸の種類によっては考慮が必要かもしれない。

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© 2022, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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