2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18141
日本周辺の波エネルギーの賦存量は平均3500万kWと少なくないが,波力発電はいまだ実用化に至っていない.従来技術はいずれも半没水で波の作用外力に低コストで対応しえない.本研究では,この問題を解決したシステムとして逆止弁式波力エネルギー変換システムを検討した.利用可能なエネルギーに関する水理学的考察を行なうと共に,新潟沖の海域で稼働することを想定した模型水理実験を行なった.その結果,波圧伝達率と装置長さが波長より短いことの影響を考慮した利用可能エネルギーの見積もりを可能にした.また,エネルギー的考察から,理論水力計算において有効落差を総落差の0.7倍で稼働することの合理性を示し,この方法で実海域の利得可能なエネルギー量を見積もった.