2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20001
土木計画学の様々な分野において,大規模で高解像度なデータの利用可能性が高まり続けている.このとき,統計学で一般に用いられるモデル選択規準は,サンプル数が増えるにつれて変数の多い複雑なモデルを支持する傾向がある.しかし,これは本分野がモデル推定に期待する問題解決の方向性と整合しないように思われる場面もある.すなわち,我々が直面する具体的な問題において,データ規模に応じたモデルの複雑さをどう捉えるべきか,その際にどのような課題が存在するかは必ずしも整理されていない.そこで本稿では,著者既報であるマクロ交通流の Fundamental Diagram を地点ごとに推定する問題を例に,データに関連する課題を整理し,統計的モデル選択規準の現状を説明し,規準の性質を実例で示したうえで,今後の展望を述べる.