2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20053
道路幅が狭く樹木の生い茂るような道路において,ドライバーが標識を見落とし交通事故や訴訟に発展する事例があるため,標識の視認性の検討が必要である.しかしながら従来研究では,街路での検討が多く,そのような道路環境は着目されていない.本研究では,その一検討として,ドライビングシミュレータを用いて山道と道路標識を再現し,視標色による視認性の違いを実験的に検討した.結果より,緑葉が生い茂る山道に関しては,制限速度標識の視認時間は黄色・赤色・青色・緑色の順に短く,一時停止標識の見落とし率は有意差がなかった.同一道路上で緑葉を紅葉にした結果,緑葉の場合とは視認性が異なり,赤色の見落とし率が最も高く,視認時間は緑色よりも0.68秒有意に長かった.紅葉における赤色の標識の視認性を高める対策の必要性が示唆された.