2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20057
COVID-19感染拡大による交通安全面への影響が多くの研究で報告されているものの,多くはロックダウン中あるいはロックダウン直前・直後という短期間を対象としている.新型コロナウィルス感染拡大による,比較的長期間の交通事故に対する影響を調べた研究やコロナ禍と事故要因への影響を組み合わせて分析した研究は未だ限定的である.本研究では,首都高速道路を対象に新型コロナウィルスの感染拡大による長期の交通状態変化を通じ,各種事故要因が施設接触事故リスクにどのような影響を与えたかを把握することを目的とする.分析の結果,コロナ禍では施設接触事故のみ発生リスクが増大し,事故の多発地点分布も変化した.さらに,既存の影響要因に加え,降雨時やS字カーブ区間に起因する施設接触事故が発生しやすい傾向にあることが示唆された.